1960年代 — 萌芽期
- Exploding Plastic Inevitable (EPI), 1966
- Andy Warhol が NY マンハッタンの Polski Dom Narodowy(通称 The Dom)で1966年4月に実施した月間マルチメディアイベント。5台の映写機と10秒間隔で切り替わる5台のスライドプロジェクタ、ライトエンジニア Danny Williams による当時としては先鋭的な光の扱い。Velvet Underground & Nico が出演し、後の liquid light show/レイブ文化の原型となった。
- ビデオアートの系譜
- Nam June Paik が1960年代から TV モニタ改造・映像インスタレーションを展開。VJ そのものというより映像芸術の礎で、後に AV 作家が参照する水源になった。
1990年代 — レイブとクラブ VJ の成立
- UK レイブ文化
- 80年代末〜90年代の UK アシッドハウス/レイブで、liquid light show を引き継いだ映像集団が現場を彩り始める。壁面プロジェクションと無数のパラスコ、サイケデリック映像が一体化した。
- Coldcut & Hexstatic "Timber" (1997)
- Ninja Tune / Let Us Play! 収録。Greenpeace の伐採映像を音のサンプリングと同期編集した AV コラージュの金字塔。1998 年 Edinburgh TV & Film Festival の音楽映像ショートリスト入り。VJ 文化が "サンプリング芸術" として表現の水準に到達した瞬間。
- 日本: 宇川直宏 と MANIAC LOVE (90年代)
- 1968年生まれの宇川直宏は DTP グラフィックデザイナー出身、BOREDOMS の EYE との出会いで VJ 活動を始め、1993年頃から西麻布「MANIAC LOVE」系列クラブ Atomage でレジデント。日本のクラブ VJ 文化の中核人物の一人。同時期 Hyperderelic Video、Princeton(田中秀幸+ピエール瀧)などが90年代東京クラブの壁面を映像で染めていた。
2000年代 — VJ ソフトの一般化
- Resolume / Modul8 / VDMX の台頭
- Resolume(オランダ、2003年頃から市場形成)、Modul8(スイス Garage Cube)、VDMX(米 VIDVOX)が続々登場し、"プロ向け VJ ソフトウェア" というジャンルが確立。プロジェクションマッピング向けに MadMapper(Garage Cube、後発)も同系譜に合流。
- Motion Dive Tokyo (2003)
- digital stage / Plaza Mikasa 系の国産 VJ ソフト Motion Dive Tokyo が PC で手軽に VJ ができる入口として一般化。初代 Motion Dive は1998年に登場。国内の VJ 裾野を広げた立役者。
- Rhizomatiks 設立 (2006)
- Daito Manabe(東京理科大数学 + IAMAS)が2006年 Rhizomatiks を設立、後に石橋素と Rhizomatiks Research 共同主宰。Perfume、Björk、Squarepusher、2016 Rio 五輪閉会式 Tokyo プレゼン AR 技術演出など、商業的/芸術的両軸で活躍する日本 AV 文化の顔。
2010年代 — ライブ配信と AV アートの深化
- DOMMUNE 開局 (2010)
- 2010年3月1日、宇川直宏が日本初の USTREAM ライブ配信スタジオとして DOMMUNE を開局。DJ/VJ/トークをリアルタイムでインターネットに流す構造は、コロナ禍以降の配信文化を10年先取りしていた。
- Algorave の提唱 (2011)
- 英国の Alex McLean(TidalCycles 開発者)と Nick Collins が2011年に "Algorave" を命名。コードを書きながら音と映像を生成するライブコーディングのムーブメントが、VJ と隣接領域として拡張。
- Nonotak 結成 (2011)
- パリで Noemi Schipfer(仏日系)と Takami Nakamoto が2011年結成。Tate Modern、Sónar、MUTEK 等で光と音のイマーシブ・インスタを展開し、2010年代の国際 AV シーンを象徴する存在に。
2020年代 — ブラウザ VJ と AI 生成
- Hydra の登場 (2017)
- Olivia Jack が2017年 International Conference on Live Coding でワークショップ初公開。WebGL ベースでブラウザだけで動く VJ 環境。オープンソースで無料、URL を共有するだけでパフォーマンスが成立する点が、自動 VJ やブラウザ VJ の水準を一段押し上げた。
- AI 生成 VJ の登場
- Refik Anadol Studio(LA、2014年設立)を筆頭に、機械学習を映像生成に取り込む作家が2020年代に急増。Microsoft、Google AMI、NASA/JPL と協働する規模の常設インスタへ拡大。
- 自動 VJ / 無人 VJ の運用定着
- DJ バー・ラウンジ・サブフロアでのスタッフ省力化ニーズと、ブラウザ技術の成熟(WebGL 2、Web Audio API、Speech Recognition API 相当)が合流し、曲認識+ルールベースで映像を回す autovj.club のような運用形態が登場。